研究課題/領域番号 |
16K03476
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
魚住 弘久 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (60305894)
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研究分担者 |
大黒 太郎 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (20332546)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文書管理 / 震災関係文書 / 文書行政 |
研究実績の概要 |
第3年目にあたる平成30年度は、前年度に引き続き、関係する資料の収集・整理を行うとともに、メンバー間で共通認識を深めつつ、本研究課題を遂行した。具体的には、(1)自治体(基礎自治体)間の文書管理の比較について、藤沢市文書館(神奈川県)、常総市役所(茨城県)、宇土市役所・益城町役場(いずれも熊本県)など全国各地の文書館、自治体で聴き取り調査を行い、資料・情報を収集することを通して、行政機関における文書管理の実態について検討した。(2)原発事故をめぐる政府活動の受け手である政府の外側にある関係機関の文書管理の研究・実践については、資料の整理を継続するとともに、福島大学と福島県庁に情報公開請求を行い、これまでの資料を補完する新たな文書資料の収集に努めた。 また、以上のような研究を遂行するなかで、本研究での知見を生かしつつ、原発事故によって一時期全村避難を余儀なくされた相馬郡飯舘村の「自分史」作成事業にゼミ生とともに関わることで、村民20人からの聞き書きをまとめた『飯舘村に生きて 20人の足跡』の出版に協力した。この他にも、本研究に付随することとして、「行政文書の管理のあり方」などの分科会からなる自治学会第18回研究会(熊本市)を開催地事務局長として実施し、社会的な関心を喚起できるよう積極的に外部公開した(学会全体の内容については、10月24日付の『西日本新聞』で詳細に紹介された)。 本年度の研究の一部を利用しつつ論文を執筆し、原稿を提出した。来年度以降に一冊の書籍の一章として発表できる予定である。なお、本研究課題の3つの柱のうちの1つである(3)中央政府内(立法・司法・行政)の文書管理の比較については、立法機関についてヒアリング先の目途をつけるとともに、情報公開請求の準備を行うなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の3つの柱のうち、(1)自治体(基礎自治体)間の文書管理の比較についてと(2)原発事故をめぐる政府活動の受け手である政府の外側にある関係機関の文書管理の研究・実践については、軽微な計画の修正はあるものの、着実に研究を進めることができた。しかし、(3)中央政府内(立法・司法・行政)の文書管理の比較については、実施計画では立法機関に情報公開請求を行い、ヒアリングを行う予定であったが、状況が整わず、実施できなかった。この点において、やや遅れが出ていると評価せざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が本研究課題の最終年度となるため、研究の取り纏めを意識しつつ、研究を進めていきたい。 まず、本研究課題の(1)自治体(基礎自治体)間の文書管理の比較と、(2)原発事故をめぐる政府活動の受け手である政府の外側にある関係機関の文書管理について、必要な追加調査を行うとともに、特に(2)については、目録の解題を作成し、公開に向けた準備を進める。 本研究課題の(3)中央政府内(立法・司法・行政)の文書管理の比較については、若干の進捗の遅れが見られるため、本年度前半に立法機関でヒアリング調査を行い、論文に纏めていく。 (3)の作業を行いながら、(1)から(3)の研究成果を包括的に検討し、従来の研究成果とあわせて、中央から地方に至る政府の文書管理の全体像を描き出すことを試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 調査の一部を次年度以降に行うことにしたため、旅費等に未使用額が生じた。 (使用計画) 調査旅費等に使用する。
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