研究課題/領域番号 |
16K03514
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
宮城 徹 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (30334452)
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研究分担者 |
池田 満 南山大学, 人文学部, 講師 (90596389)
福田 彩 東京外国語大学, その他部局等, 非常勤講師 (90650375)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インターネットベースの遠隔授業 / 紛争予防 / 平和構築 / アジア大学間連携 / 教育プログラム評価 / 紛争経験国・地域 |
研究実績の概要 |
本年度は,本研究課題の対象となっている国際遠隔教育プログラムの評価のための調査を2回実施した。1回目は6月から7月にかけて,事前事後調査と,全5回行われた授業ごとのフィードバック情報を収集し,分析した。この調査結果をもとに冬に行われる教育プログラムへ向けた改善案を策定したものの,冬の授業は参加している各国の大学間の調整がつかなかったため,3か国の大学のみが参加した通常と異なる短縮カリキュラムが実施されたため,改善提案を十分に反映させることができなかった。また通常と異なるプログラムであったため,評価のための調査は行ったものの,参考情報に留まった。 3月には,東京で行われた参加各国の大学教員が集まった会議の席で,それまでの調査結果を提示し,総括的な改善計画や,2017年度以降の共同的な研究活動の推進について議論を行った。 海外出張では、11月にボスニアヘルツェゴビナに出張し、内戦時の状況とその後の様々な平和構築教育プログラムについて現地施設視察と専門家との意見交換を行った。
研究成果の発表としては,南山大学の紀要論文が1編,国内学会での発表を4件行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年度の進捗状況に影響を与えた要因として,本研究課題を遂行するうえで中核となるデータの収集を当初計画通りに進めることができなかった点が挙げられる。その理由として,本研究課題が対象としている国際遠隔教育プログラムが,参加校の都合で計画に沿った形で実施されなかった点が大きかった。このプログラムは週1回5週にわたるカリキュラムを夏と冬,年に2回行うものであるが,冬のプログラムは関係している国外の複数の大学間の調整がつかず,通常5~7大学が参加するところを3大学で3日間の短縮されたカリキュラムで実施された。そのため,この回のデータは参考情報にとどめざるを得ず,夏のプログラムで得られた成果をフィードバックする機会とならなかった。
また,上記の教育プログラムを担当する国外の大学教員らとは,本研究課題採択前から研究協力体制を確認していた。しかし,研究を継続する中で,課題採択前に確認していたデータの収集とフィードバックのサイクルに対する協力体制が,一部,関連する国外の大学の中での講義担当者の交代により十分に引き継がれていなかった。その結果,データ収集に関わる情報が,調査対象者たる学生に適時に転送されない状況が発生した。その結果,夏のプログラムに対する調査回答も十分に得ることができなかった。
これらの点に加え,1名の研究分担者が2015年度末に出産し,2016年度前半は育児のため,研究活動に携わることができる時間が大幅に減少した。この分担研究者は上記の教育プログラムのコーディネーションを担っていたこともあり,関係している大学担当者との連携が困難になったことも付記したい。
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今後の研究の推進方策 |
まず,進捗状況が遅れている原因を解決するために,2つの計画を策定した。第1に本年度の研究遂行へ向け,2017年3月に教育プログラムに関わる各国の教員と東京で会議を行い,調査への協力を要請し,フィードバックに基づく継続的な教育活動の改善の重要性についての共通認識の構築を図った。また同会議内で,年2回,5週間のプログラム実施を確保するため,年間の授業スケジュールを確定した。合わせて,日ごろは遠隔地にいる教員・研究者同士の交流を図り,研究協力体制全体の強化を図った。第2に,研究分担者の一人が,引き続き育児等で研究活動を十全に行うことが難しいことが予想されるため,それまでこの研究者が担っていた各国大学への事務連絡,書類作成等,研究活動の補助にあたる作業を行う事務助手を1~2名程度,継続的に雇用することとした。
こうした改善計画の実施を元に2017年度は,引き続き教育プログラムの実施状況や成果に関わる調査と,調査結果のフィードバックや調査結果に基づく改善提案を行い,改善内容の実施状況やその効果についての検証を続ける。加えて本年度は,教育プログラム参加国1~2国を訪問し,実際に教育プログラムを受講している学生に対して,プログラムを受講するに至るまでの経緯や受講同期,プログラムについての印象や要望,改善提案などの聞き取り調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述したように、昨年度は、研究対象の教育プログラム自体が縮小して行わざるを得なかったことと、研究分担者1名が育児休業を取得し、研究活動に専念できなかったことなどから、本研究活動の進展に支障が生じた。 今年度はその分を取り返すべく、活動を活発化させている。
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次年度使用額の使用計画 |
・昨年度行えなかった現地調査(インタビューをもとにしたプログラム評価)を複数回実施する。 ・教務補佐を雇用し、研究に必要な資料の補足収集を充実させる。
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