研究課題
基盤研究(C)
本研究では、実際の人間がどのような状況で嘘をつく傾向があるのか、ある経済主体の嘘は他の経済主体にどのように評価されるかについて実験を実施して検証した。実験結果によると、被検者は常に自分の利益だけで嘘をつくわけではないが、他人の嘘の行動に同調する傾向があること、他の経済主体の利己的な嘘に対しては負の互酬性が機能するが、他の経済主体の向社会的な嘘および利他的な嘘に対しては正の互酬性は機能しないこと等が確認された。
実験経済学
ある経済主体が嘘をつくことによって経済的な利益を高めることができる状況においては、当該経済主体は他の経済主体に対して嘘をつくインセンティブを持つ。本研究では、実際の被検者がどのような状況で嘘をつく傾向があるのか、ある経済主体の嘘は他の経済主体にどのように評価されるのかについて詳細に検討した。各種経済取引におけるコンプライアンス向上が求められる現代社会において、本研究で得られた実験結果は、経済活動における公正さを担保する制度や仕組みを構築するうえで、重要な知見となると考えられる。