本研究では、地域間人口移動を想定し、硬直的賃金下で失業が発生し地方が生産財を労働集約財もしくは非労働集約財に特化する状況において、地方の補助政策の影響を分析した。結果、地方自治体が土地保有者より徴収する税等を用い、労働者の労働補助や企業の生産補助等を行う場合、失業下では生産補助の方が厚生の面で望ましいことがわかった。さらに、地方の産業が労働集約的であれば、生産補助は他地域の人口減により労働集約財の相対価格を上昇させ、地方の厚生を改善する可能性がある。一方、地方の産業が非労働集約的の場合、生産補助は他地域の人口減を通じその相対価格を減少させるため、厚生を改善しない場合があることがわかった。
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