企業の異質性を取り入れた独占的競争貿易モデルであるメリッツ・モデルは,現代の国際貿易理論を代表するモデルの1つであり,それをR&Dに基づく内生成長モデルに導入した研究も行われてきた.しかしながら,そのような内生成長モデルの全ては,国の対称性の仮定に依存していた.本研究は,そのような既存のモデルでは扱うことができなかった一方的貿易自由化,最適関税,特恵貿易協定等の貿易政策上の諸問題を分析する基本的な枠組みを提供する.これは貿易政策が異質企業間の資源の再配分を通じて各国の成長と厚生に与える影響を考えようとしている世界中の研究者に対して大きなインパクトを与え得る.
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