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2020 年度 実施状況報告書

労働者の異質性によって生じる富と所得の不平等に関するマクロ動学分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K03724
研究機関同志社大学

研究代表者

大野 隆  同志社大学, 経済学部, 教授 (40388806)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード参入退出 / ハロッド・モデル / 不安定性 / 格差
研究実績の概要

本研究は、企業の生産性格差という異質性が資産格差や所得格差に与える影響、とともに、マクロの安定性に与える影響を考察することを目的とした研究である。今年度は、2方向の研究を進めた。
まず、ストックフローコンシステントモデルを用いて、経済の安定性について、考察を行った。資産保有の非対称性が、景気循環の安定性に与える影響を考察した「貸借関係を考慮したハロッド・モデル;SFCモデルでの展開」は、ハロッド・モデルの安定性について、各主体の貯蓄性向が大きな役割を果たすことが明らかとなった。本論文は、2020年12月に「経済学論業」に掲載された。この結果、不安定なハロッド・モデルの安定化要因として、労働者の異質性に起因する富の不平等性が大きな要因であることが明らかとなった。
次に、大規模企業の参入退出を考慮した研究部分を、「参入退出を考慮したハロッド・モデル」として、2020年5月に開催された進化経済学会にて報告した。
また、ハロッドモデルにBhaduri-Marglin型投資関数を入れ込み、企業の投資行動をより現実的に設定した論文"Capital-labor conflict in the Harrodian model"を作成した。本論文は、2021年度に、Evolutionary and Institutional Economics Review に掲載予定である。この研究を礎に、様々な投資関数を持つ企業がいることで、経済が安定化することが明らかとなった。すなわち、経済の主体の異質性を考慮した企業行動をハロッドモデルにて研究を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症の蔓延により、研究会での報告、学会での報告ができなかった。
特に、経済理論学会にて報告予定であったが、オンライン学会になったため、研究報告の枠が削られて、研究報告ができなかった。

また、企業の異質性の導入を明示的に行うのが困難であるため、今後は2グループに分けた、単純な異質性を導入し、マクロ経済における資産格差および不安定性について考察を行っている。この点は、上記の研究成果からも明らかなように、順調である。

今後の研究の推進方策

企業の異質性の導入を明示的に行うのが困難であるため、今後は2グループに分けた、単純な異質性を導入し、マクロ経済における資産格差および不安定性について考察を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

学内行政が多忙であった。また、新型コロナウィルス感染症拡大のため、国内外の学会発表が行えず、旅費の支出がなかった。また、同様の理由で、研究会の設定行えず、講師招聘などの支出が全くなかった。
新型コロナウィルス感染症が収まった場合、国内外の学会での報告を行い、様々なコメントを貰い、最終的な研究成果の改善を行う。また、昨年度予定していた研究会の設定を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Capital-labor conflict in the Harrodian model2021

    • 著者名/発表者名
      Ohno Takashi
    • 雑誌名

      Evolutionary and Institutional Economics Review

    • DOI

      10.1007/s40844-021-00199-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 貸借関係を考慮したハロッド・モデル;SFCモデルでの展開2020

    • 著者名/発表者名
      大野隆
    • 雑誌名

      経済学論業

      巻: 72 ページ: 393-411

  • [学会発表] 参入退出を考慮したハロッド・モデル2021

    • 著者名/発表者名
      大野隆
    • 学会等名
      進化経済学会

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公開日: 2021-12-27  

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