研究課題/領域番号 |
16K03836
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
松本 雄一 関西学院大学, 商学部, 教授 (10336951)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 実践共同体 / サードプレイス / ラーニング・コミュニティ |
研究実績の概要 |
今期においては2本の研究論文と、著書の原稿を執筆したことが成果である。まずこれまでの研究を1つにまとめ、実践共同体の理論枠組みと4つの事例研究を含めた著書の発行は、本研究期間の最大の成果になるであろう。研究期間内の発行を目指して現在原稿の推敲中である。 研究論文については、まず実践共同体の主要研究の1つでありながら、その難解さから特に日本の実践共同体研究では用いられてこなかった、Wenger(1998)についての詳細な文献レビューを実施した。本研究の成果である上、今後の実践共同体研究に大きく寄与するものとなる。もう1つは実践共同体の構成概念の1つである「コミュニティ」の研究と、実践共同体の関連概念である「サードプレイス」「ラーニング・コミュニティ」の文献レビューを実施した。実践共同体の概念を知る上で、先行するコミュニティ研究を検討することは重要であるが、これまではなかなかそれが研究上行われてこなかった。加えて実践共同体と他の概念を弁別する上で重要な概念である「サードプレイス」研究、および類似概念である「ラーニング・コミュニティ」研究を検討することで、さらに実践共同体を正確にとらえることが可能となる。 フィールド調査では介護施設における実践共同体活動である「学習療法実践シンポジウム」に参加し、現場の実践事例を多く知ることができた。同時に今後の実践共同体研究の萌芽となる他の研究へも着手することができた。今後も研究を継続していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文や著書原稿の執筆という形で、研究はおおむね順調に進展している。今後は著書の発行に向けて推敲を行い、研究期間内の発行を達成することで、成果として結実させたい。 またフィールド調査も継続しており、介護施設の実践共同体、および今後の研究につながるような他のリサーチサイトの調査も進めていきたい。 今回の研究をもとに、ヨーロッパ組織学会(European Group of Organization Studies)への発表を計画し、そのために必要な研究論文の要約原稿を作成・提出し応募したが、残念ながら審査を通過できなかった。しかし通過率の低い学会でやむを得ないところもある。来年度の学会発表に向けて今後も応募を継続したい。あわせて他の学会での発表の機会を探りたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針としては、(1)著書出版のための準備、(2)フィールド調査の継続、(3)海外学会発表の準備、の3点がある。特に海外学会発表については発表する材料はととのっているので、継続的な応募を通じてその機会を得たいと考えている。また介護施設の調査を通じて、今後は医療機関における実践共同体の形成へと範囲を広げたいと考えており、その礎を構築したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外学会発表・参加のために使用しようと計画していたが、計画に変更が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
海外学会発表もしくは参加を実施する。
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