最終年度の成果は以下3点にまとめられる。第1に、前年度に提示した「消費者理解フレームワーク」に関して、インドのビジネスコンサルタント、及び日本の実務家(海外ビジネスを専門とするコンサルタント、及び新興国進出を果たしている企業の海外部門長)へのヒアリング・アンケート調査によって有効性を確認した点である。この結果、日本の実務家に関しては、提示したフレームワークの有効性を確認することができた。すなわち、Hofstedeが提示するような基本的な価値観を理解する以上に、当該の対消費者サービスに即して顧客満足・ロイヤルティ状況を理解することの重要性が確認された。一方、インドのコンサルタントは意見が多岐にわたり、コンセンサスを得ることができなかった。今後、論点を絞って再調査が必要と思われる。 第2に、提示したフレームワークの汎用性に関する検討を実施し、インド以外にも同分野のサービスで有効性を持つことが確認された。すなわち、ベトナムの外食サービス(Quick Service Restaurant及びカフェ)に関して、インドで実施したと同様の調査・分析を実行し、マーケティング方針に関する示唆を導くことができた。ただ、提示したフレームワークは「日本サービスへの期待感」を含む必要性があり、既存サービスだけを対象とすることには限界があることも認識した。さらに、同分野サービス以外にフレームワークを拡張するには多くの点で修正が必要であり、その具体的内容に関しては今後の課題として残った。 最後に、消費者理解は新興国進出の意思決定時点から始まり、組織的課題を内包している点がインタビュー調査から浮上した。この点を整理することにより、来期以降の科研費研究課題としてまとめることができた(2019年4月に基盤研究Cとして採択)。
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