研究課題/領域番号 |
16K03990
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大石 桂一 九州大学, 経済学研究院, 教授 (10284605)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 会計基準 / アウトソース / 会計規制 |
研究実績の概要 |
当年度は本研究で掲げた課題のうち、主に米国において会計基準設定のアウトソースが起こった理由を解明するという課題に取り組んだ。特に企業会計の基準と公会計の基準がいずれも財務会計財団(FAF)という民間機関の傘下にある組織(FASBとGASB)が設定している点に着目し、両者の比較を行った。しかし、学術論文あるいは学会報告として研究成果を公表するに至らなかった。現在、当該課題についてはある程度研究がまとまってきたので、2019年9月に開催されるアメリカ会計学会での報告を申し込んだところであり、次年度中には論文として公表する予定である。 また、戦後の日本における会計基準設定の開始と変遷を明らかにするという課題については、企業会計審議会が日本公認会計士協会(JICPA)に指針の策定をアウトソースした事例を取り上げて検討を行った。その結果、戦後間もない日本では開示制度の担い手が未成熟であったことから、会計学者が会計制度の設計を主に担ったのであるが、1960年代の末には公認会計士が会計基準設定において重要な役割を果たすようになったことが明らかになった。そのうえで、JICPAから企業会計基準委員会(ASBJ)に会計基準の策定が「移管」された最近の事例を検討した結果、1960年代以降JICPAが果たしてきた会計基準設定主体としての役割はもはや終了し、公認会計士が会計基準づくりに、いちプレイヤーとして参加するようになったとことが明らかになった。こうした研究結果については、次年度に国内学会で報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当年度は本学のキャンパス移転等もあり、研究環境が変化したため、予定していた英国との歴史的比較については次年度へと見送った。
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今後の研究の推進方策 |
幸いにも研究期間の延長が認められたので、次年度は英国との歴史的比較に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度は研究成果を公表するに至らなかったが、次年度は国内外の学会で報告する予定であり、そのための旅費に使用する。
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