研究課題/領域番号 |
16K03993
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
兵頭 和花子 兵庫県立大学, 経営学部, 准教授 (50382255)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | チャリティ会計 / 基金会計 / 会計実務勧告書 |
研究実績の概要 |
平成28年度は理論的研究を中心に行う予定であり,具体的にはイギリスのチャリティ会計について,これまでの研究レビューとともにその特徴の一つであるFund会計への取り組みについて明らかにすることを目的としている。 イギリスのチャリティの法制度は1600年ごろから始まっている。そしてチャリティ会計は1980年代初頭から,その会計と報告についての質や首尾一貫性を改善する努力がかなりなされてきた。当時のチャリティ会計は営利組織会計を導入していたことがレビューの検討から理解できた。そして非営利組織会計の特徴の一つであるFund会計については1980年代から存在していることも理解できた。チャリティ会計に対する研究報告書(Bird and Morgan- Johnsの研究報告書『チャリティの財務報告(Financial Reporting by Charities)』)では関心の一つとしてFund会計を取り上げており,その存在が確認できる。一方で,その研究報告書を受け,英国の会計基準委員会(ASC)が発表した会計実務勧告書(SORP)では,営利組織会計の導入を提唱している。 すなわち,英国のチャリティ会計では非営利組織会計固有の会計と考えられるFund会計が導入されていたが,ASCは営利組織会計の導入を提唱していたということが理解できた。本研究ではFund会計の特徴を明らかにするのみならず,ひろく英国チャリティ会計について整理・検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英国のFund会計を検討するためには,英国のチャリティ会計の検討が必要となる。チャリティ会計の中心となるのは会計実務勧告書(SORP)であると考えられることから,とくにチャリティ会計の研究レビューとともに,チャリティ会計の歴史的変遷やSORPの特徴についてそれぞれ検討を行うことができた。そして,チャリティ会計の特徴の一つしてFund会計の特徴が明らかとなっている。ただし,本研究ではFund会計の特徴のみならず,ひろく英国チャリティ会計について整理・検討を行っており,一年目の課題をほぼ達成できたと考える。また,本研究の成果は平成29年度中に出す予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
英国チャリティの会計ではFund会計は完全に不採用となっていないことが明らかとなり,営利組織会計の採用から非営利組織会計固有の会計へと進展している可能性が明らかとなった。 現在,日本では非営利組織会計固有の会計構築の動きと非営利組織会計に営利組織会計を援用する動きの両者が存在する。そのため日本の非営利組織会計の制度構築に向けて,非営利組織会計固有の会計構築と営利組織会計の援用とどちらが適切であると考えられるのかについて検討する上で,英国チャリティ会計の非営利組織会計固有の会計への進展の要因をさらに明らかにしていく必要があると考え,その検討を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍の購入等で若干の残額(245円)が出たが,平成29年度分と合わせて費消する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
残額(245円)であることから,平成29年度に購入する書籍代として費消する予定である。
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