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2021 年度 実施状況報告書

組織内多様性と経営者属性の多様性の拡大が租税負担削減行動に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 16K04006
研究機関中央大学

研究代表者

大沼 宏  中央大学, 商学部, 教授 (00292079)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2023-03-31
キーワード租税負担削減行動 / 戦略的提携 / 連結納税制度 / 不完備契約研究 / エイジェンシー費用 / 監査リスク / 税務リスク
研究実績の概要

2021年度は主として3方向の研究を進めた。第1が,租税負担削減行動と監査報酬の関連性についての調査である。第2が,監査報酬と不完備契約の関連性についての調査である。特に、不完備契約の中でも戦略的提携に着目をして分析を進めた。第3が、租税負担削減行動の具体的な形態としての連結納税制度を採用する企業のインセンティブがどこにあるか、特にコーポレート・ガバナンスの視点から示唆される要素はないかを検証した。
第1の研究の成果としては、我が国の監査報酬に関して、租税負担削減行動に積極的な企業の監査報酬は、監査リスクの高まりを受けて上昇することを発見した。この結果は企業の成長性、配当性向、会計発生高、その他収益性をコントロールしてもなお結果は一貫していた。
第2の研究の成果としては、戦略的提携のような不完備契約を持つ企業では、外部監査人による監査の複雑性が増加するため監査報酬が大きくなる可能性があるという点である。本年度は監査の複雑性は監査手続のどの局面に関連するかを,文献等を通じて記述研究によって説明を試みた。戦略的提携を交わす企業は,不完備な事象が監査対象に存在するがゆえに,収集すべき監査証拠も増えることになり,監査に係る複雑性が増すと予想される。財務諸表全体レベルにおいても,アサーション・レベルおいても,監査証拠を通常よりも多く収集し実証手続を充実させる必要が高まる。戦略的提携契約を事業に含む企業は,通常の企業と比較して2つの局面での監査リスクが高まるため,必要となる実証手続ないし求められる内部統制の水準が上昇というリスク対応手続がより必要となる。
第3は、租税負担削減行動の具体的な形態としての連結納税制度を採用する企業のインセンティブは、エイジェンシー費用の削減という点である。。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本来であれば研究成果を、国内及び海外学会で報告し,論文にまとめるところであるが、コロナ禍もあり少し遅れている。今年度は研究計画通り進めていきたい。

今後の研究の推進方策

今年度もこれまでの研究過程を推し進めて、租税負担削減行動に影響を与える要素について幅広く文献を渉猟するのと共に、監査報酬との関連性、契約の不完備性との関係性、、会計保守主義との関係性も視野に入れて研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

研究計画では海外学会等で研究成果を報告することが含まれていた。しかしコロナ禍もあり、報告がなかなか進まなかった。そこで方針を転換して、研究成果を海外学会において発表することも継続して行うことは含めつつも、海外ジャーナルへ投稿していくことも進めていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 戦略的提携と不完備契約パースペクティブの関係性2021

    • 著者名/発表者名
      大沼宏
    • 雑誌名

      「企業研究」(中央大学企業研究所)

      巻: 19 ページ: 187 203

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Incentive for Adopting the Consolidated Tax Return System, and Its Relation to Corporate Governance, and Tax Avoidance: Evidence from Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Ohnuma Hiroshi
    • 雑誌名

      『商学論纂』(中央大学商学部)

      巻: 63 ページ: 1-45

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 監査報酬と租税負担削減行動、及び税務リスク2021

    • 著者名/発表者名
      大沼宏
    • 学会等名
      第80回日本会計研究学会全国大会

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公開日: 2022-12-28  

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