個別面接法調査において,調査員の目に見える特徴が回答内容に偏りを生じさせる可能性が指摘されているが,日本においてはまだ少ない。そこで全国規模の無作為抽出調査データと調査員の基本属性を組み合わせたデータセットを用いて,調査員の年齢や性別,およびそれらと回答者属性の組み合わせが回答に与える影響について検討した。性別役割意識を従属変数とした分析の結果,回答者の「年齢」と「調査員男性ダミー」のクロスレベル交互作用効果が有意となった。これは高年齢者ほど性別役割分業に対して肯定的な態度を持っているにもかかわらず,女性調査員を前にした場合には,そのような意見表明は避けられやすくなると解釈できるだろう。
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