研究実績の概要 |
本研究は,グループホームに入居し,糖尿病や高血圧症など継続した内科的管理を要する高齢精神障害者(以下,対象者と省略)が,自らの疾患に係るセルフケアに関する生活機能(以下,「セルフケア機能」と省略)を高め,グループホームでの生活を維持・継続するための多職種協働による評価を支援するツールを開発することを目的とする. 平成30年度は,これまでの調査研究の成果を踏まえ,対象者のセルフケアと日常生活における社会的機能,及びソーシャルサポートの状態及び変化をとらえるためのタイムスタディの実施に向けたパイロットスタディを重ねた.その結果,対象者にとっての主たる支援者との支援関係,生活場面ごとの支援システム,横断的な支援ネットワーク,加齢による社会的機能の変化に伴う活動・役割の選択的最適化,という要素が対象者のセルフケアの向上に寄与することを仮説的にとらえた.この成果を踏まえて,グループホームにおける対象者の実態把握及び仮説を検証するための統計的調査の準備を開始した.具体的には,セルフケア,ソーシャルサポート,社会的役割機能に係る測定尺度を参照し,これまでの調査研究から導き出した仮説の論理モデルを作成した.また,作成した論理モデルに基づき質問紙案を作成し,そのワーディングを開始した. あわせて,作成した論理モデルの基礎である,これまでの質的研究の成果について論文化を図った.その論文を学術誌に投稿し,査読を受けることで,研究成果の妥当性について外部評価を受けた.
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