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2018 年度 実施状況報告書

低自己評価者の対人ネットワークの拡大を支える重要他者の制御資源保存機能

研究課題

研究課題/領域番号 16K04277
研究機関帝塚山大学

研究代表者

谷口 淳一  帝塚山大学, 心理学部, 教授 (60388650)

研究分担者 相馬 敏彦  広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (60412467)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード大学適応感 / 初期適応 / 本来感 / 自己呈示 / 関係的自己 / 親密な関係 / シャイネス
研究実績の概要

親密な関係の醸成は、排他的に対人ネットワークを縮小させる可能性がこれまで指摘されているが、親密な関係に付随する関係的自己の効果に着目するならば、特に自己評価の低い者では逆に親密な関係の醸成がネットワークの拡大に寄与する可能性があるといえ、本研究ではこの点を実証的に明らかにすることが目的である。
平成30年度は、「低自己評価者の自己呈示では制御資源がより消費されること、その傾向は、ポジティブな自己呈示に強く動機付けられる場合、また、ありのまま信念が強い場合に特に顕著になる」との仮説を検証する当初予定の研究1を大学新入生を対象として実施した。30名程度を対象とした予備実験を実施後、手続きを一部修正して68名を対象に本実験を行った。その結果、女性のみに仮説を支持する結果が得られ、自己評価が低く、ありのまま信念が強い場合に、ペアとなった相手への自己呈示を強要された自己呈示群の方が、自由に会話をした統制群よりも、その後の計算問題に対する回答数が少なくなり、パフォーマンスが低下していることが示された。ただし、ありのまま信念が強いものの、自己評価が高い場合は、自己呈示群の方が統制群よりも回答数が多くなっており、自己評価が高い場合の自己呈示のポジティブな効果もみられた。女性のみで仮説が支持されたことも含めて、結果の解釈には慎重になる必要があり、研究2の計画について見直しを行っている。また、昨年度実施した大学新入生の初期適応を検討した研究2のフォローアップ調査である研究4を実施した。さらに、研究3の検定力を高めるために新たな大学新入生からもデータを得て、サンプル数を増やした。これらについては現在、分析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

全体的に当初の予定より遅れている。平成30年度は、関係的自己の概念整理のために順番を変更して研究を実施する必要があったため、平成28年度、29年度と実施を見送っていた研究1を実施した。平成30年度は研究1に引き続き、「未知の他者との接触時になされる低自己評価者の統制的自己呈示には制御資源が必要であること」を検証する研究2を実施予定だった。ただし、研究1で研究3と同様に仮説が女性のみでしか支持されなかったこと、また未知の他者と会話する際に自己呈示を行うことがポジティブな効果を有することが示されたことに対して、研究2の実施計画を見直す必要が生じたため、研究2の実施は令和元年度に延期することとなった。現在は研究2の実施計画も修正がほぼ完了し、令和元年度の早い段階で実施できる予定である。

今後の研究の推進方策

令和元年度については、研究2を実施し、「未知の他者との接触時になされる低自己評価者の統制的自己呈示には制御資源が必要であること」を確認した上で、本研究課題のメインともいうべき研究5を実施する。研究5では「重要他者の表象を活性化することで低自己評価者の自己呈示において制御資源の消費が抑制される」ことを示すことを目的とする。研究計画が当初よりも遅れていることから、研究期間を1年延長することとして、研究6と研究7は令和2年度に実施する予定であるが、スムーズに実施できるよう令和元年度中に準備を入念に行う。また、令和元年度には研究3について当初の予定通り、社会人を対象に実施し、結果の頑健性を確認する。

次年度使用額が生じた理由

現在までの達成度の理由で述べた通り、平成30年度に実施予定としていた研究のいくつかを令和元年度に行うこととしたため、それに伴う研究費が必要となった。
本年度は前年度実施予定であった研究についても実施するため、その研究の遂行に研究費が必要となる。また当初の予定通り国内外の学会での発表や投稿論文に関わる研究費が必要となる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 新たな対人関係の形成に果たす関係的自己の役割ー大学新入生を対象としてー2018

    • 著者名/発表者名
      谷口 淳一
    • 学会等名
      日本社会心理学会第59回大会

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公開日: 2019-12-27  

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