研究課題/領域番号 |
16K04285
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
岩木 信喜 岩手大学, 教育学部, 准教授 (80341593)
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研究分担者 |
田中 紗枝子 徳島文理大学, 人間生活学部, 講師 (80784496)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 記憶 / エラー反応 / 確信度 / 学習 |
研究実績の概要 |
語彙学習事態において、エラー反応の視覚的確認が正答の学習を促進するのかどうかを検討した。古典的なA-B/ A-Dパラダイムによれば、手がかりと反応は“A-B”を形成し,手がかりとターゲットに当たる“A-D”の記憶に順向干渉を生じるはずである。しかし、一部の研究では、エラー反応の記憶がむしろ正答の学習を促進する可能性が示されており、これら両者の可能性を検討した。 2つの実験では、参加者に漢字熟語(160語)を一度に一つ口頭で読ませ、実験者が入力した。誤っていた場合には正答だけをフィードバックするか(反応FBなし条件)、反応を表示してから正答をフィードバックした(反応FBあり条件)。また、反応にどの程度自信があるかを確信度として試行ごとに測定した。 その結果、再テストにおける確信度を込みにした平均手がかり再生率は、いずれの実験においても反応FBあり条件の方が有意に高かった。つまり、エラー反応の視覚的確認が正答の学習に順向干渉を生じることはなく、むしろ、その学習を促進することがわかった。確信度によって試行を低・中・高の3群に分けた分析も行った。結果は、エラー反応の表示によって正答の学習が促進されるのは低確信度で顕著であることが分かった。 中確信度以上の試行、特に高確信度の試行では、エラー反応の表象がワーキングメモリに明瞭に保持されていると考えられる。一方、低確信度ではエラー反応はすぐに忘却されると考えると、短期記憶にエラー反応表象を保持していることが正答FBの学習促進に重要な要素である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習材料として漢字熟語を用い、予定通りの実験を行った。結果も理解できる内容であった。今後は一般的知識問題にも拡張して調べる必要があるが、現在のところ計画段階であり、まだ実行はしていない。この点を早く調べて、児童への応用段階に移行することが必要である。総合的にはおおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
附属学校との連絡調整をこれから行い、一年間の実験計画を練る必要がある。勤務校(岩手大学)の他の教員との共同体制を組み、研究を推進する予定である。また、研究分担者の勤務校(徳島文理大学)とも連絡調整をする予定であり、研究推進のための体制作りを急ぐ予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、本科学研究費補助金を受け入れる前に準備していた実験を既存のシステムで行ったため、購入予定のシステムの費用を次年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
古くなった刺激呈示システム(OS: Windows Xp)を新しくする(OS: Windows 7か10)予定である。
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