研究課題
基盤研究(C)
テストで生成されたエラーの記憶が矯正FB情報の保持(エラーの修正)に寄与し得ることを示す事実が報告されており(Butler, Fazio, & Marsh, 2011)、これを検討した。本研究において、以下の諸点を明らかにした。(a)エラーの記憶の想起による強化は正情報の保持を促進し、のちの検索可能性を高める。(b)その効果はとくに低確信度エラー試行で顕著に現れる。(c)高確信度エラーほど修正されやすいことを示す過剰修正効果は、エラー反応の記憶を想起できる場合に限られる。
教育心理学
知識やスキルを新しく学習する際には多くのエラーが生産される。学習者は、徐々に知識やスキルを身につけ、エラーを少なくしていくのが普通である。このような過程においてエラーは悪であり、少なくするのみならず、記憶から消去した方がよいとも考えられている。しかし、本研究が示したように、エラーの生成やその記憶は正情報の学習を支援する働きをするのであり、エラーを教育課程でどのように利用すればよいのかという問題意識に基づく研究が必要である。