自己分化度については,これまで家族療法等を行う一部の臨床現場では基礎的なものの1つとして位置づけられてきたが,国内においてはその実証的研究が乏しい状況が続いている。 そのような状況の中,本研究は,主に①国内における自己分化度仮説の妥当性,②自己分化度の発達的変化,③自己分化度促進的養育態度の3つについて量的根拠に基づいて検討したものである。特に②については国外でも稀な研究であり,これまで臨床経験からのみ述べられてきたことを実証したものといえる。また,③についてはこれまで詳細は検討されていなかったものであり,本研究によって,子どものストレス脆弱性の軽減に役立つ知見が得られた。
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