研究課題
今年度はプロジェクト最終年度にあたり,これまでの取り組みで収集してきた様々な場面やプロセスの学生の省察テキストを用いて,学習者の学びの特徴とテキスト上の特徴との関係について広く検討を進めた。今年度の新たな取組として,日本語形態素解析システム JUMAN++ (京都大学黒橋・河原研究室)が備え持つ辞書情報を活用し,学生が省察に用いた名詞の知識カテゴリ(例:抽象物,人工物,人,時間,場所,等)や知識ドメイン(例:教育・学習,科学・技術,文化・芸術,等)を抽出するためのプログラムをオープンソース・フリーソフトウェアの統計解析向けのプログラミング言語であるRを用いて作成した。このプログラムでは,形態素解析によって,各カテゴリ・ドメインに対応した名詞の各出現数を算出し,抽出された名詞の総出現数でそれぞれ割ってやることで,各カテゴリ・ドメインの出現傾向を示す指標(範囲:0-1)を算出することができる。これらの指標を,さまざまな学習段階や学習状況で採集され省察テキストデータにおいて算出したところ,省察テキストデータの特性に応じて,特定のカテゴリ・ドメインの指標が値い値を示すことが明らかになった。例えば,「特定の活動に取り組んだ直後の省察」と「特定の活動に関する長期的な省察」とを比較すると,前者においては教育・学習ドメインの名詞の出現率が低下する傾向がみられた。今後の研究では,学習者個人ごとの出現率プロフィールを作成することで,各指標のもたらす意味をよりクリアに推測できる可能性が示唆される。
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電子情報通信学会技術研究報告
巻: 119(352) ページ: 43-47