本研究では日本、中国、台湾の大学生および日本と台湾の小学1~2年生を対象にして図形の一筆描き課題を実施し、描き始めの位置や描く方向などの描線動作について漢字圏に共通の特徴がみられるのかを検討した。その結果、漢字圏の大学生は円の描画課題において円の左側から描き始めることが比較的多く、また時計回りに描く反応も比較的多かった。また、三角形や菱形の図形では上の頂点から反時計回りに描く反応が比較的多かった。さらに、こうした描画特性は漢字圏の小学1~2年生においても共通にみられた。これらの結果から、漢字という共通の書字様式の習得が図形の描線動作に影響していることが示唆された。
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