研究課題
強迫症(Obsessive-Compulsive Disorder: OCD)とは、意志とは無関係に繰り返し頭に浮かび、不快感を生じさせる強迫観念と、強迫観念を振り払うため、繰り返し行われる強迫行為からなる精神疾患である。OCD患者の中には自閉スペクトラム症(Autistic Spectrum Disorders: ASD)を併存する患者が一定割合存在するが、ASDを併存するOCD患者は、OCDに対する認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)の効果が得られにくい原因が、背外側前頭前皮質の灰白質体積変化にある可能性を、これまでに報告してきた。本年度は、認知行動療法に対する治療抵抗性の原因を脳機能の観点から探るための予備的解析として、安静時脳活動の結合性をOCD患者の認知行動療法の前後においても比較した。その結果、顕著性ネットワークおよび背側注意ネットワークと小脳の結合性が低いほど、治療抵抗性が高い傾向が認められた。OCDの強迫的思考と行為の転換の難しさが顕著性ネットワークの異常に関係していると報告されていることから 、顕著性ネットワークが、認知行動療法に対する治療抵抗性の候補として考えられた。さらに、OCDとASD、および同じく併存の多い神経発達障害である注意欠如・多動症(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder: ADHD)について、T1強調画像により皮質下領域の体積、皮質厚、皮質面積を国際的多施設研究により多数例で比較した。その結果、児童・青年期のADHDで頭蓋内体積がOCDおよびASDよりも小さいものの、OCD特有の差異は認められなかった。本研究結果は英文誌にて報告した。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
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