研究課題/領域番号 |
16K04376
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
杉本 希映 目白大学, 人間学部, 准教授 (90508045)
|
研究分担者 |
青山 郁子 静岡大学, グローバル企画推進室, 特任准教授 (60586808)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | いじめ / 心理教育 / 予防教育 / 保護者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学校におけるいじめ予防教育の一環としての小・中学生の保護者の役割を検討し、保護者との協働を促進するための心理教育プログラム教材の開発することである。1年目である2016年度は、ステップ1の基礎的データ収集段階にあたり、2つの調査研究を実施した。 第一に【研究Ⅰ】いじめ予防のために保護者に必要なユニバーサル教育の内容を明らかにするために、調査研究を実施した。小・中学校の教員(200名)とスクールカウンセラー(130名)に対して、いじめ予防のために保護者に必要な知識と対応についてのアンケート調査(自由記述を含む)を実施し、その結果を分析した。特に、「いじめ予防のために保護者に知っておいてもらいたいこと」と「いじめの対応のために保護者に知っておいてもらいたいこと」については、共同研究者と自由記述をKJ法を援用して分類し、さらに他の専門性を持つ研究者にカテゴリーの評定をしてもらい一致率を算出した。これにより、研究Ⅰの保護者に必要なユニバーサル教育の内容についての基礎データを得ることができた。 第二に、【研究Ⅱ】いじめの初期段階における保護者の対応(二次的支援)を明らかにするための基礎的知見の収集のために、保護者の持つ教師、学校、校長に対する信頼感尺度の開発を行った。教師に対する信頼感については、小・中学生の保護者100名に対し、自由記述式のアンケート調査を実施し、その結果を分析して項目の作成を行った。ついで、日本では開発されていない学校と校長に対する保護者の信頼感尺度について、海外研究者の承諾を得てバックトランスレーションし、日本語版を作成した。この3つの尺度を使用し、小・中学生の保護者516名に対し、尺度の開発とモデルの検証を内容としたアンケート調査を実施し、現在分析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の計画としては、おおむね順調に進展していると考える。しかし、当初、既成の尺度を使用する予定のものが、日本においては信頼性・妥当性が検討されているものがないことが判明し、計画にはなかったが、尺度作成を追加することとなった。そのため、今年度中に計画していた研究Ⅱの調査が来年度に持ち越しとなったが、新たな知見を得ることができたため、研究全体としては順調であるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度は、【研究Ⅰ】いじめ予防のために保護者に必要なユニバーサル教育の内容を明らかにするために、昨年度の作成した尺度を使用して本調査を実施し、尺度の信頼性と妥当性を検討する。また、【研究Ⅱ】いじめの初期段階における保護者の対応(二次的支援)を明らかにするために、昨年度作成した教師・学校・校長に対する保護者の信頼感尺度と研究Ⅰで作成したいじめ予防・対応に必要な保護者の知識についての尺度を使用し、アンケート調査を実施する。 それ以降に、【研究Ⅲ】発達段階に応じた保護者用心理教育プログラムの内容を選定するために、各国の保護者向けのユニバーサル予防教育の視察を予定しているが、まだその対象国や対象学校が決定していないため、海外にいる研究協力者と連携し早急に情報を集め、決定を行う必要がある。そのうえで、研究ⅠとⅡの調査結果と合わせ、日本におけるプログラムの内容を精選させ、作成する。最終年度には、開発したプログラムを用いたトライアルを実施する予定であるため、協力校を選定していくことも今年度から実施したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2017年3月に業務委託して実施したアンケート調査の費用(365,040円)が、次年度執行となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
すでに使用してる金額であるため、次年度に大きな変更はない。
|