本研究では、交際中のカップルにおけるデートバイオレンス・ハラスメントのうち、特につきまとい、ストーキングに関して、その実態を調査するとともに、交際初期に交際終了時におけるつきまとい・ストーキング行動を予測できるかどうかについて検討した。 まず、1000組のカップルについて2年間の交際状況についての追跡調査を行った。その結果、349組のカップルについて2年間の追跡データを得ることができた。彼らに対して、現在の交際の有無を尋ねた結果、245名は交際継続中であった。2年間の間に交際が終結したと報告したのは104人であった。この104人について本研究では分析対象とした。分析対象者は、男性64名、女性40名であった。 分析対象者に対し、交際終了の態様についての質問と26項目からなる交際終了後のつきまとい・ストーキング尺度を実施した。因子分析の結果、第3因子までで全分散の82.453%が説明された。第1因子は、つきまとい、監視などに関する項目から構成され「未練」因子と名付けた。α係数は0.958であった。第2因子は、脅迫や経費の請求などに関する項目から構成され「攻撃」因子と名付けた。α係数は0.957であった。第3因子は、身体的な接触やプライベートな情報の漏洩などの項目から構成され「なれなれしさ」因子と名付けた。α係数は、0.925であった。これらの各因子の得点が2年前の調査の成績から予測できるかについて重回帰分析、ロジステック回帰分析、機械学習等の方法を使用して、分析を行った。その結果、それぞれの因子とも「交際期間中のつきまとい・ストーキング行為」、「ギャンブル癖」、「社会的剥奪感」などが予測要因になっていることが示された。 この結果をもとに、つきまとい・ストーキングについての予防策、防衛策について考察した。
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