本研究は、いじめ被害経験の長期的影響を明らかにすること、さらに、いじめ被害経験の有無がコミュニケーションに関わる認知・脳機能に与える影響を実験的に検討することを目的としていた。研究の結果、1)大学入学までのいじめ被害経験が、精神健康のポジティブ・ネガティブ両面に渡って長期的な悪影響を及ぼしうること、2)いじめ被害経験者に対する調査とインタビューを通して、被害のトラウマ強度と外傷後成長が正の相関を示し、いじめ経験が苦悩と同時に人間的成長も生じさせうること、3)いじめ被害経験と関連する社交不安の程度によって、語彙流暢性課題中の前頭前野の脳血流に違いがみられることが明らかとなった。
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