研究実績の概要 |
本研究は、ベルリン市の就学前教育において、幼稚園に代わってますます大きな役割を担うようになった幼児全日施設における道徳教育改革の今日的動向について詳細に探究した。特に、2014年に10年の歳月をかけて改訂された「ベルリン陶冶プログラム」の内容とともに、それに関連する資料を収集し、その現状と課題について分析した。 その成果を、研究の最終年度に当たるために、国際学会において公表した。その場所としては、道徳教育に関して世界でも権威のあるアメリカの道徳教育学会の第45回年次大会(2019年11月7日~9日, Seattle, WA, USA)において、ドイツの就学前教育の今日的改革について日本のそれと対比しながら発表した。発表のテーマは、「A comparative study preschool of education in Japan and Germany」というものであった。そこでは、両国の就学前教育の大きな共通点および相違点を確認したうえで、現代的動向の比較を行うとともに、異文化の子どもを包含した幼児期のインクルーシブな道徳教育についても言及した。 発表に対しては、ドイツやアメリカや中国などの研究者から質問が出され、持ち時間のすべてを使って応答した。さらに、発表終了後も、他の研究者からテーマに関する質問があり、今後の研究を進めて行くにあたっての貴重なアドバイスを得ることができた。とりわけ、国際学会の場において、日本人とまったく違った視点から他国の研究者から質問されたこと、さらには国際学会でしか会えないような日本人から感想・意見を聞けたことは、研究遂行の上で大いに参考になった。 その反響を受けて、次回の大会においても、今回の発表から進展した研究を発表する予定となっている。
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