本研究は、水俣病(公式確認は1956年)とチェルノブイリ原発事故(1986年)を対象として公害問題に関する比較環境教育研究の枠組を検討することを目的として実施した。当初はカナダ調査をも計画したが、健康上の理由で見送った。 水俣市及びホイニキ市(ベラルーシ共和国)における調査を通して、「公害問題と人間形成体系の相互作用」が教育の全体(インフォーマル、ノンフォーマル、フォーマル)において確認できること、時間の経過のなかで「記憶の継承」を目的とする資料館の役割が大きくなってきていること、今後は地理的固有性やナショナルな文脈をふまえた比較地域史研究として行うことが重要であること、が明らかとなった。
|