以下、2つの研究を行った。第一に「かな文字の読み習得の基礎的なプロセスに関する理論的検討」である。これは、欧米の「音韻意識と読み習得」という知見を、かな文字に転用してきたことの問題を指摘した理論的研究である。第二に「かな文字の読み誤りデータの分析」である。これは、幼児の仮名文字の読み誤りパターンに影響する文字要因と,その習得過程における変化を検討したものである。音韻的要因、形態的要因がそれぞれ独立に寄与していることとともに、特に形態的要因の顕著な寄与を明らかにした。これを踏まえ、かな文字習得における形態知覚の役割の重要性を指摘した。
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