研究課題/領域番号 |
16K04600
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
新藤 慶 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (80455047)
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研究分担者 |
野崎 剛毅 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 准教授 (50412911)
濱田 国佑 駒澤大学, 文学部, 准教授 (50634523)
上山 浩次郎 北海道大学, 教育学研究院, 講師 (60751089)
小野寺 理佳 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (80185660)
品川 ひろみ 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (80389650)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外国人児童生徒 / オールドカマー / ニューカマー / 日本語指導 / 母語支援者 / 外国人の子どもの貧困 / エスニシティ / 子ども家庭福祉 |
研究実績の概要 |
第1に、戦後の外国人児童生徒の動態について分析を行った。その結果、戦後まもなくから「外国人」とされた朝鮮籍の子どもが1980年代までの外国人児童生徒の中心を担ったこと、そのなかで、1965年の日韓法的地位協定締結により外国人児童生徒の公立学校就学にあたり授業料や誓約書が不要になったにもかかわらず公立学校に通う朝鮮籍の子どもは増えず、公立学校就学には授業料や誓約書といった表面的な要因ではない別の要因が制約として働いている可能性があること、1990年以降は入管法改正によって定住者資格を付与されたブラジル籍の子どもが増えたこと、そして、2010年代の外国人児童生徒の増加は、永住者や専門職の親を持つ中国籍の子どもの増加によってもたらされていること、などが明らかとなった。 第2に、日本語指導が必要な外国人児童生徒について、母語別の分析を行った。その結果、韓国・朝鮮語を母語とする子どもはほとんど日本には問題がなく、中国語を母語とする子どもは2割弱が日本語指導を必要とする状況である一方、ポルトガル語やフィリピノ語を母語とする子どもの場合、4割程度が日本語指導を必要とする可能性が推測されるといったように、母語やエスニシティによって、外国人児童生徒の抱える問題状況が大きく異なることが明らかとなった。 第3に、ポルトガル語を母語とする子どもへの支援を行う母語支援者の調査分析を行った。そこでは、母語支援者が、学校と家庭をフラットにつなぐというより、むしろ学校での学びの重要性をブラジル人家庭に伝えるという学校寄りの立場をとっていること、その背景には、同じエスニック・マイノリティであるからこそ、エスニック・マイノリティの子どもには日本語習得や学校での学習の重要性を伝えたいという考えがあること、などが明らかとなった。 さらに第4に、外国人の子どもの貧困について、データ整備の必要性も明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、調査研究の実施が予定通りに進められなかったため、補助期間の延長を行った。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、予定通りに研究を遂行できないところがあった。一方、研究代表者・研究分担者の間は、メールやZoomなどオンラインを活用した情報交換の仕組みを取り入れることで、今後の感染拡大でも、ある程度研究が進められる状況が整っている。さらに、調査対象地域の教育委員会や学校とも定期的に連絡をとっており、本研究に協力いただける状態になっている。今年度は研究の取りまとめが主であるが、知見の確認などについて、調査対象者の方々からの意見もいただきながら、進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、計画通りに調査研究を進めることができなかったため。
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