研究課題/領域番号 |
16K04602
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岡田 聡志 千葉大学, 高等教育研究機構, 特任助教 (00581779)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Institutional Research / 分野別質保証 / 内部質保証 / 医学教育 / 薬学教育 / 看護学教育 / エビデンス / アウトカム |
研究実績の概要 |
本研究は、分野別質保証として専門分野別の対応が要求されている医学・薬学・看護学といった医療系の領域を対象に、全学的な内部質保証との関係性とともに、研究とIR実践の応答の観点からエビデンスや知識を捉え直すことにより、より効率的で体系的なIRのあり方についてアプローチするものである。本年度は、高等教育研究および医療教育研究として実施されてきた研究について、IRが参照すべき妥当性・信頼性の高い研究成果の抽出と整理とともに、国内におけるIR担当者の準拠・参照枠組みを明らかにするためのインタビュー調査の設計を中心に実施した。 具体的には、まず各専門領域のIRの活動内容を大きく規定する分野別の基準を整理するため、医学・薬学・看護学について、主にアメリカ、イギリスを対象としながら、それぞれの基準の共通性と差異について分析するとともに、その基準が参照する研究成果を抽出し、検討を行った。設定されている基準については、先行研究で基準そのもののエビデンスの不在と妥当性への疑念が指摘されているように、アクレディテーション団体によっては、頑健とは言い難い研究成果をもとに、基準を設定している実態が確認された。次に、これらの基準が求める評価資料におけるデータの種類に焦点を当てて、個別機関の事例を含め、検討を実施した。特に学習成果に関する指標を中心にそれらをキーワード化した上で、それをもとに関連する研究成果を抽出し、収集・整理した。今後、これらの内容およびエビデンスとしての頑健性の検証とともに、その参考文献を中心としてどのような研究を参照しているかの分析を実施する。また、これらと並行して、国内のIR担当者が実態としてどのような研究成果を参照しているかについてアプローチするために、インタビュー調査を設計し、プレ調査を実施した。プレ調査の知見をもとに、調査項目を修正し、次年度以降本格的な調査を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画通り、教育学系および医療教育系の文献資料を中心とした、IRが参照すべき妥当性・信頼性の高い研究成果の抽出・収集・分析と、国内IR担当者の準拠・参照枠組みに関するインタビュー調査の設計を実施することができた。インタビュー調査については、IR担当者へ様々なディシプリンからの流入が見られるため、当初の項目から修正が必要になっている等の課題もあるが、研究全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度抽出・整理した文献について、その内容とエビデンスとしての頑健性の検証、および研究成果のコンテクストを把握するため、参考文献に着目して、その参照枠組みについて検討・分析を実施する。加えて、そこで得られた知見をもとに、先進事例の抽出を実施し、年度後半にアメリカの先進事例に対して、訪問調査を実施し、その実態を検討する。インタビュー調査については、本調査を開始し、スノーボーリングサンプリングにより対象を拡大するとともに、データ化とコーディングを中心に実施する。各学会の大会や研究集会等の機会を利用し、調査を効率的に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究実施計画に基づき、特に文献資料研究を中心に実施し、配分額の95.26%を執行したが、インタビュー調査については、プレ調査実施後、調査項目の修正が必要になったため、そのデータ化や分析に係る予算の執行は一部に留まった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、主に海外現地訪問調査のための費用とともに、本年度設計したインタビューの本格実施のための国内訪問調査とインタビューデータの分析費用を予算として計上しており、繰越分についてもこの枠組みでの使用を計画している。
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