研究課題/領域番号 |
16K04606
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高田 一宏 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80273564)
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研究分担者 |
前馬 優策 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (00632738)
原田 琢也 金城学院大学, 人間科学部, 教授 (10707665)
中村 瑛仁 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (30756028)
諏訪 晃一 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (50440962)
住友 剛 京都精華大学, 人文学部, 教授 (80340511)
堀家 由妃代 佛教大学, 教育学部, 准教授 (80411833)
柏木 智子 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (90571894)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会的包摂 / 子ども支援 |
研究実績の概要 |
この研究の目的は、経済的困窮、学力不振、不登校、虐待、非行・問題行動などの困難を抱える児童・生徒を支援するシステムの形成過程を明らかにすることである。具体的には、貧困と社会的排除が集積する都市部に焦点をあて、長期的な子ども支援の視点から、小中連携が盛んな校区や小中一貫校に注目したフィールド調査を実施することにした。 2017年度は、研究分担者・協力者と共に研究会を組織して、意見交換・情報交換をはかりつつ、次の通り、各調査校・調査地でフィールドワークを実施した。なお、以下の仮名は研究計画書に記したものと同じである。 (1)A小学校・B中学校では、家庭における生活困難や地域教育活動の沈滞、教職員の世代交代などに伴う学校運営の困難、学校選択制による児童・生徒の流出などが、学習指導・生徒指導の課題の背景にあることが明らかになってきた。要するに、子どもに現れた困難には、家庭、地域、学校がそれぞれに抱えている困難が複合的に作用しているということである。 (2)C小中一貫校では、障害の有無にかかわらず児童・生徒がともに学ぶ原学級(通常学級を指す)保障の理念と一人ひとりに対する個別的な支援の関係に注目して調査を行った。そして、学力不振や問題行動などの子どもに現れた困難が、社会経済的・文化的要因からではなく「発達障害」という要因によって解釈されがちなことが明らかになってきた。 (3)D小中一貫校では、地域学習を中心にフィールド調査を行った。3小学校・1中学校を一貫校化する以前の地域学習には、子どもたちの自尊感情の回復したり、労働観や進路展望を豊かにしたり、地域に対する差別的なまなざしを払拭するといった効果があったが、現在の地域学習は必ずしも組織だった取り組みになっていないことが明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、三つの調査校・調査地でのフィールドワークを通して、それぞれの学校・地域における子どもの困難とその背景要因を把握することができた。また、当初の予定にはなかったが、「子ども食堂」の取り組みや地域における子どもの居場所づくりに関する情報収集をA小学校・B中学校の校区で行い、来年度の調査の準備を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査を継続するとともに、学校や地域の関係者と一緒に子ども支援に向けたアクションプランを検討していきたい。今のところ、具体的な検討課題として、学習指導における小中連携や地域における子どもの「居場所」づくり(A小・B中およびその隣接校)、あらゆる意味で社会的に不利な立場にある子どもを念頭に置いたインクルーシブな学校づくり(C小中一貫校)、総合的な学習の時間、地域と学校の連携組織(D小中一貫校)などを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューの文字おこしに相当程度の予算を割く予定だったが、時間の都合上、研究分担者でテープ起こしを行った。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品費やインタビューの文字おこしのバイト代として使う予定。
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