研究課題/領域番号 |
16K04607
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
土田 陽子 和歌山大学, システム工学部, 特任准教授 (30756440)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 女子教育 / 高等女学校 / 同窓会 / ジェンダー / 教育事業 |
研究実績の概要 |
平成28年度は主に、公立高等女学校の同窓会組織が行っていた「教育事業」活動に関する史料収集を行った。 申請書の計画に基づき、高等女学校の流れをくむ全国各地の高校の学校史と同窓会誌を中心に、古書収集と野間教育研究所での資料調査・収集を行った。これらの調査過程において、和歌山県の事例研究でみられた同窓会運営の家政系学園や幼稚園・保育園が、他地域の高等女学校にも存在していたこと確認できた。また大都市圏の高等女学校の同窓会組織のなかには、社団法人化するケースがいくつかあることがわかった。こうした動きは、東京と奈良の女子高等師範学校の同窓会にもみられたが、男子が通う中等・高等教育機関の同窓会では確認できなかった。これらのことから、同窓会組織の役割にジェンダーの問題が関係している可能性が浮かび上がってきた。 そこで国立公文書館において、同窓会組織が運営する社団法人の設置・認可申請に関する史料についても収集を進めた。具体的には、女子高等師範学校の「桜蔭会」「佐保会」の他、秋田高等女学校の「あげまき会」、東京府立第一高等女学校の「鴎友会」、東京府立第六高等女学校の「ワカバ会」、大阪の大手前高等女学校の「金蘭会」、清水谷高等女学校の「清友会」、堺高等女学校の「愛泉会」、京都第一高等女学校の「鴨沂会」、第一神戸高等女学校の「欽松会」などである。 また、国立公文書館において、大都市圏の高等女学校の同窓会が設立した私立高等女学校の設置・認可申請に関する史料収集も行った。具体的には、東京府立第一高等女学校の同窓会が設立に関わった鴎友学園高等女学校、大阪では金蘭会の金蘭会高等女学校、清友会の清友学園高等女学校、愛泉会の堺愛泉高等女学校などの史料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、1年目にあたる平成28年度は史料調査・収集を中心に行う予定となっていた。 公立高等女学校の同窓会組織の「教育事業」活動として「幼稚園・保育園運営」「家政系学園運営」「私立高等女学校設立・運営」「女子専門学校設立運動」の4種を想定し、それらに関する全国的な動きをつかむため、野間教育研究所が所蔵している学校史を調査した。そのなかで、和歌山県の事例研究から得られた知見が他地域の場合にも適用できることがおおよそ確認できたこと、また「同窓会組織の社団法人化」という新たな分析の視点が生まれたことは収穫である。 同窓会誌についてはまだ十分には資料収集ができていない。しかし全国規模の資料調査は2年目以降にも行うことを予定していたので、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の前半は1年目に引き続き、公立高等女学校の同窓会組織に関する史料調査を行う。その後、これまで収集した史料を整理し、公立高等女学校の同窓会組織の「教育事業」活動について全国規模の基礎的資料を作成する。 後半からは、関西地方の事例研究に取りかかる。具体的には、和歌山高等女学校、堺高等女学校、大手前高等女学校、清水谷高等女学校、京都第一高等女学校、第一神戸高等女学校の同窓会組織に注目し、これらの学校史料を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
野間教育研究所での調査を5日間予定していたが、3日で済んだため予定金額よりも少額となった。また、所属機関変更のためポータブルなノートパソコンの購入を次年度にまわした。
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次年度使用額の使用計画 |
収集した資料整理やデータ入力、パワーポイントでの学会報告、論文執筆のためにノートパソコンを購入する。
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