研究課題/領域番号 |
16K04641
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
椿 明美 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (00320581)
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研究分担者 |
吉本 圭一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30249924)
江藤 智佐子 久留米大学, 文学部, 教授 (30390305)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2021-03-31
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キーワード | 職業統合的学習 / 職業的レリバンス / 卒業生調査 / 学び・活動と職業の関連性 / キャリア教育 / 人文・社会科学系大学 |
研究実績の概要 |
文系における職業統合的学習のあり方を探るため、人文・社会科学系大学の卒業生ヒアリングと卒業生アンケート調査を実施した。大学で学んだことや身につけたことがどのように現在の仕事に関連しているのか、教育と仕事との関連性を探った。 卒業生ヒアリング調査は、学びと職業との関連を見るため、ある程度職業経験を積み上げた卒後4~5年の卒業生に対し半構造化インタビューを行い、その実情をM-GTAの分析手法を用い5つの概念を生成し解釈・分析した。その結果、人文・社会学系学部・学科を選ぶ学生は、入学以前に具体的な①職業イメージを持ちにくい、②在学中、卒業後とも専門意識は低い傾向が見られた。さらに、大学での学びと現在の仕事の関りは「ない」と答えるが、大学教育は「ものの見方・考え方に影響を及ぼしている」「文章作成、コミュニケーション力で有効」と認識していることがわかった。 また、大学での教育が関連するインターンシップ、例えば、社会学部での社会調査を活かせるインターンシップ等の満足度は高く、職業統合的学習の可能性を示唆したがサンプル数が少ないため今後の課題となった。 卒業生アンケート調査は、インターネットを用いたWeb調査で、私立文系大学卒業生(法学部・社会学部・人文学部・文学部)の卒後4~6年、206名の回答を得て分析を行った。大学での学び・経験と初職や職業との関連性においては、この4学部の卒業生は事務職に就いている数が多く、大学の学部学科と職業との適切性は見られなかった。また、大学で身につけた能力を知識・技能・態度に焦点化して分析したところ、仕事活用は低い結果となったが、管理的職業に就いている層では大学での学修の活用が高い傾向が見られた。大学の専門と職業との関連は直接的ではなく、ものの見方や考え方といった人間形成において培われたものが、管理的な職業で必要とされるものに活かされる可能性が窺えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は卒業生ヒアリング、卒業生アンケート調査を実施したが、これまでの調査をもとに大学の学びと関連するインターンシップ、すなわち職業統合的学習のキャリア教育における効果とその位置づけを考察する予定であったが、コロナウィルスにより研究会が思うように開催できず次年度への研究継続となった。
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今後の研究の推進方策 |
繰り延べた研究最終年度として、文系の専門教育内容と関連するインターンシップ等の職業統合的学習の効果についてまとめていく。 全国でキャリア教育は様々に展開されているが、そこに職業統合的学習、すなわち専門での学びと職業体験を介在させることで、文系での教育課程の意義、大学教育の職業への影響、連結を見いだすことで、教育を受ける目標が見えない、学修をすることの意味を見いだせない学生が多い文系学生への指標を模索する。最終的には、文系のどのような学修とインターンシップが関連するのかを整理し、キャリア教育の改善に寄与できる職業統合的学習の新たな展開を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの緊急事態宣言を受け、令和2年3月4日(水)に東京にて予定していた研究成果の学会発表準備のための研究会を延期する必要が生じた。 また、本科研に必要な諸外国情報取集のため、3月22日(日)に福岡で予定していた本科研分担者主催の国際セミナーを延期(日程未定)する必要が生じた。
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