研究課題/領域番号 |
16K04742
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研究機関 | 城西短期大学 |
研究代表者 |
村越 純子 城西短期大学, ビジネス総合学科, 准教授 (80456003)
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研究分担者 |
田代 美江子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40297049)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 道徳教育 / 価値教育 / 宗教教育 / シティズンシップ教育 |
研究実績の概要 |
スペインの義務教育課程における価値教育の実態を把握するため、スペインでは国立のスペイン科学研究高等会議(Consejo Superior de Investigaciones Cientificas: CSIC)人文社会科学研究所(Centro de Ciencias Humanas y Sociales: CCHS)の客員研究員の立場を得て研究活動を行った。2006年の教育基本法(通称LOE法)はシティズンシップ教育教科を義務教育課程で新設かつそれを必修化したが、2013年に成立した教育基本法(通称LOMCE法)はシティズンシップ教育教科を廃止した。自治州国家であるスペインでは、各自治州によって教育政策の内容には差がみられる。エストレマドゥーラ自治州では、LOMCE法成立にともなって義務教育課程の価値教育は宗教科目と価値科目のどちらかを選択するものになった。LOMCE法に基づく価値教育政策の変化に伴う学校教育への具体的な影響や教育現場における課題を把握するため、エストレマドゥーラ自治州立アゴラ中等教育学校を訪問した。エストレマドゥーラ自治州の公立学校であるアゴラ中等教育学校では、中学校課程1年と高等学校課程1年における宗教の授業と、中学校課程1年における価値の授業の両方を観察して、教授内容および教授法、受講生の実態などを把握した。また同校において、宗教と価値のそれぞれの教科主任に対して聞き取り調査を行ったことで、LOMCE法にともなう学校における価値教育の位置付けの具体的変化や、それが価値教育を担当する教員に及ぼす影響、とくに宗教を担当する教員の立場を不安定なものにさせていることなど、LOMCE法成立による変化について現場教員の受け止め方について把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2016年度から毎年、スペインの現地調査において教育基本法(通称LOMCE法)に関する聞き取り調査と公立学校における価値教育の授業観察などを行った。2018年度内にそれらを分析しまとめる予定であった。しかし研究代表者が非常勤講師から所属機関変更後、客員教授、准教授となり業務内容が大きく変化したことで、研究開始時に想定していた研究時間を確保することが難しくなり、分析を終えることができなかった。そのため研究期間を延長して次年度で分析を終え、結果をまとめ公表することとした。
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今後の研究の推進方策 |
大学内において自分に与えられる業務の合理化を進め、研究時間をできるだけ多く確保できるできるように工夫したい。少なくとも学生の夏休み期間中には、長期の研究時間を確保して研究に集中できるように研究環境を整えたい。スペインの現地調査で行った教員に対するインタビューや授業観察の映像資料のテープ起こしなどは、翻訳業務を専門とする機関に委託することで、研究代表者は研究分析に専念して研究成果を公表することに取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
翻訳業務などの委託費として想定していた業務そのものの手配が遅れたため、次年度までの研究期間延長申請を行った。その結果、2019年度も継続的に研究することが可能となり、今年度に使用しなかっ助成金額を次年度において主に翻訳業務などの委託費として使用することとする。
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