研究課題/領域番号 |
16K04761
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
川口 広美 (前田) 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (80710839)
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研究分担者 |
橋崎 頼子 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (30636444)
南浦 涼介 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60598754)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シティズンシップ / 多様性 / 教員養成 / 市民性教育 |
研究実績の概要 |
本研究は,日本とノルウェーの教員養成課程におけるプログラム及び学生と教員の共生意識に関する質的な比較調査を通し,能動的なシティズンシップ育成に資する教員養成プログラムや教員の支援のあり方を明らかにすることを目的とする。 2015年度に行った研究では,教員養成課程の学生に対する量的調査を行い,両国の学生の持つ全体的な意識の傾向を明らかにしてきた。本研究では,さらに,(A)大学での教員養成プログラムがどのように対応しているか,(B)大学教員・(c)学生が上の社会的文脈をどのように意味づけしているか(=共生意識)を質的に分析することをめざしている。上記を目的とした研究方法は、①先行研究分析と調査フレームづくり、②パイロット調査、③本調査、④調査データの比較検討、という4段階を設定している。 2016年度は主に①と②を行った。まず,各大学のカリキュラムや先行研究などを用いて,両国の教員養成課程の政策やカリキュラムの概要を把握した。その後に,先行研究を元に,多様性に関する認識をはかるためのインタビューのデザインをつくり,日本とノルウェーで主に学生に対するパイロット調査を実施した。調査の結果,量的調査では見られなかった個人的な認識の差や同じ言葉についてのイメージの違いなどが明らかになった。また,そうした個人の認識形成の背景には,大学でのフォーマルな教育の成果だけでなく,家族関係や高校までの生活経験などのインフォーマルな教育の成果も大きいことが明らかになった。ただし,これらはインフォーマルな教育であるがゆえに,自覚することが難しく,リサーチデザインの振り返りが必要であることが明らかになった。 なお,パイロット調査のデータの一部については,日本及び国際学会発表で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度の目的は,先行研究の分析と調査フレーム作り、及びパイロット調査の施行と振り返りであった。 先行研究の分析では、(1)先行する国際調査における日本とノルウェーの多様性を中心としたシティズンシップ観の状況の把握及び、(2)教員養成課程の政策や近年の変容について検討を行った。その成果を生かし、日本とノルウェーにおけるパイロット調査を行い,そのデータを基に、リサーチデザインを検討し,本調査に向けてのフレームを作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度の目的は,本調査の実施である。 本調査の実施に向けて,まず6月までに本調査を実施する大学を確定し,学生と教員の調査対象者を選定する。7月までに各大学のカリキュラムや授業観察などを実施し,前提となる情報を収集する。8~10月にかけて,各大学で調査を行う。この間に日本チームのノルウェー訪問,ノルウェーチームの日本訪問を相互に行い,実施状況の把握やデザインの見直しなどを行う。11月以降にデータの分析を行い,2月・3月で学生を中心としたデータ分析結果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は,先行文献調査とパイロット調査に集中した。ノルウェーの研究協力者から直接多くの情報が得られ,パイロット調査の実施にもご協力を得られた。そのため,当初よりも文献や準備の費用的負担が軽減された。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は本調査として,日本とノルウェーの両国で,多様性を中心として,教員養成課程を担当する教員と学生との聞き取り調査を行う予定である。
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