研究課題/領域番号 |
16K04837
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
納富 恵子 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60228301)
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研究分担者 |
西山 久子 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80461250)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | UDL / 授業改善 / 研修モデル |
研究実績の概要 |
主体的な学習者育成をめざす米国の非営利団体CASTの「学びのユニバーサルデザイン(UDL)」を用いた授業改善モデル構築のために、代表者と共同研究者の実践の整理を行った。日本LD学会自主シンポジウムで、研究協力者とともに、これまでの調査や実践をもとに、米国の授業の工夫例の紹介とガイドラインを適用した授業実践により学業達成や学習意欲の向上にむすびついた事例を報告した。また、ポスター発表では、UDL実践が学校現場に受容されるためには、学校長の理解を得て、少数事例であっても確実な効果を同僚と共有し段階的組織的に導入することがポイントであることを示した。 米国の訪問調査では、教員研修や大学のUDLの講義の内容や手法について情報収集を行った。教員研修では、基礎的な考え方や教科ごとの実践の紹介、大学の授業では、web教材の活用に加え、UDLを活用した教材の計画や実施などPBLを取り入れていた。 米国で得られた知見をもとに、代表者が教育委員会等から招聘された教員研修で、参加者自らが授業実践を振り返るワークシートの活用やグループ討議、理論的な説明と効果を挙げた実践例を組み合わせた研修、ワークショップ型の校内研修などアウトリーチを試みた。さらに、教職大学院で学ぶ現職教員である院生2名とともに、中学校理科と小学校外国語活動での授業改善を試み、若年層教員へのコンサルテーションも加え児童生徒の意欲や若年教員の授業力向上に一定の効果を見た。また通常学級に在籍する児童生徒の個別のニーズについて事前情報が整理されれば、効果的な授業改善につながる可能性が示唆された。 すでにUDLガイドラインを用いて授業改善を行っている現職教員を中心に、福岡UDL実践研究会を2回開催し、実践の報告や、今後の展開に向けて文部科学省調査官より助言を受けた。今後の研修の効率化のために、この研究を紹介するwebを立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度に予定していた研究は、ほぼ行うことができた。しかし、米国における学校現場でのUDLガイドラインにもとづく授業実践の実地視察が実現しなかったためにやや遅れている。福岡UDL実践研究会における実践の共有や米国からUDL実践の研修講師の来日など、日本国内での研修機会を有効に活用することで、研修の対象や目的に応じた国内での研修システム構築については十分な情報収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度行ったUDLガイドラインに基づく授業実践事例について、日本学校心理学会のシンポジウムで発表を行う。 公開したUDLに関するwebに,前年度までに開発した、研修用のワークシートや教材、モデル指導案を公開し、受講者が事前学習を行ったうえで研修できるように工夫を行う。 福岡UDL実践研究会を継続し、教員にとって理解しやすく実践しやすいような情報提供について、ワークショップ、校内でのコンサルテーション、ガイドブックの作成、コンサルテーション実行シートなどの開発及び改善を行う。 米国でUDLによる授業改善を行っている学校や教育委員会の研修などの実地調査を研究分担者とともに行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究成果や実践成果のまとめに加え、研修モデルを作るため教育委員会との協働による研修や研究協力校での校内研修などを優先して行った。そのため、研究分担者との協働での米国訪問調査を次年度に行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に、米国でのUDL実践や教員研修の実地調査を研究分担者とともに計画している。
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備考 |
本研究で活用するwebページを新たに立ち上げ、本研究に至るまでの研究経過とUDLに関する情報提供を行っている。
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