今年4月に大ニュースになったように、長らく数論の未解決問題であったabc予想が、望月新一氏により、彼の宇宙際タイヒミュラー理論の応用として証明された。宇宙際タイヒミュラー理論はその重要な構成要素として遠アーベル幾何学を含む。通常の遠アーベル幾何学は有限生成な体、例えば有限次代数体上で考察されることが多いが、暫く前から sub-p-adic な体上に拡張され、さらに最近ではクムマー忠実体上に拡張されつつある。ところが、どんな無限次代数体がクムマー忠実体であるかの判定は必ずしも容易ではない。この状況に鑑みるに、無限次代数体がクムマー忠実体となるための判定条件を与えた我々の結果の意義は大きい。
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