本来、本研究課題の研究期間は令和2年度までであったが、コロナ禍の影響により研究研究期間を延長することとなった。本研究課題の主な目標に関しては令和2年度までに概ね達成することができたため、延長期間に当たる令和3年度においては、これまでの研究テーマの延長線上にある問題意識として可換Artin環のLefschetz性に関わる組合せ的作用素の構成を試みたほか、新しい研究テーマとして投票ゲームに関するSharpley値の一般化や、その組合せ的性質に関する問題を考察した。 ・可換Artin環上の組合せ的作用素の構成に関しては、Gaetz-GaoによるA型余不変式代数上の組合せ的sl(2)表現の構成を参考に、マトロイドから定まるGorenstein環に対してフラットの順序構造と適合的な作用素の例の計算を行った。特に、グラフィックマトロイドに関してはグラフに対する組合せ的操作から誘導される作用素の具体的表示を幾つかの場合に計算した。また、Gaetz-Gaoによるsl(2)作用の非可換環(Hecke代数やFomin-Kirillov二次代数、Nichols-Woronowicz代数等)上への一般化を試みた。 ・Sharpley値の一般化に関しては、グラフ理論的な設定のもとに一般化を行い、その特徴付けを得ることができた。このような定式化によりマトロイド等の順序構造に対してもSharpley値の計算が可能になる。グラフに関する最適化問題とも関わっていることから、今後の研究テーマとして興味深いものであることが期待できる。
|