研究実績の概要 |
私の研究分野「幾何学的トポロジー」の一つの発祥地であるワルシャワ(ポーランド)で開催された「Geometric Topology - Celebrating the Year of Mathematics in Poland」(the Institute of Mathematics, Polish Academy of Sciences, 08.09.2019 - 14.09.2019)に出席し、講演を行った。また、力学的挙動の解析をcoarse幾何学に応用しようと考え、前期に加藤久男(筑波大学名誉教授)による講義と後期にはJ. R. Sanjurjo教授(Universidad Compuletense de Madrid, Madrid, Spain)を招聘してConley index theoryの集中講義を行なった。 昨年度に引き続き, Vesko Valov教授(Nipissing University, Canada)との共同研究を行なった。主たる課題は「ホモロジー群が局所的に自明な有限次元コンパクト距離空間のホモトピー的あるいはシェイプ的な性質を解明する」である。現在彫られている例は、特異ホモロジー群、スティーンロッド ホモロジー群、チェック ホモロジー群では局所的な自明性が異なる2次元コンパクト距離空間の構成法がある。今後の進展はコホモロジー論のVietoris-Smale型定理が特異ホモロジー論では成り立たない有限次元コンパクト距離空間の例を挙げることにある。これら特異な例は局所的に滑らかではない野生的な空間で構成される。これらはcoarse幾何学では理想境界として現れることが考えられ、種々の問題の反例の構成に有効であることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
Vesko Valov教授(Nipissing University, Canada)との共同研究を継続し、上記の課題「ホモロジー群が局所的に自明な有限次元コンパクト距離空間のホモトピー的あるいはシェイプ的な性質を解明する」の研究にあたる。これら特異な例は局所的に滑らかではない野生的な空間で構成される。これらはcoarse幾何学では理想境界として現れることが考えられ、種々の問題の反例の構成に有効であることが期待される。 また、現状では不透明な部分もあるが本年度に連携研究者J. Dydak教授(University of Tennessee, U.S.A)を招聘してcoarse幾何学の現状と今後の課題に関するワークショップを開催したい。
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