本研究では,測度拡大的な微分可能写像の力学を微分幾何学的力学系理論の立場から特徴付けを目指したが,その完成には至っていない。すべての測度に対し測度拡大的な正則微分可能写像のC1-位相に関する内点は,擬-アノソフ系と一致すること,測度正拡大性を満たす微分可能写像については,周期点の集合が無限個の反発的周期点と有限個の吸引的周期点から成る系に限れば,内点が双曲的であることを確認した。 本研究の推進過程において尾行性の概念を一般化した測度尾行性の概念を導入した。測度尾行性をもつ力学系を特徴付けると同時に,尾行性を持たない力学系に対しては尾行可能な擬軌道の量的評価に成功し,その概念の有用性を示した。
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