ランダム媒質における均質化や揺らぎの問題は,不規則な媒質をどこまで均質な媒質で近似できるかという,応用上も重要な問題である.またこの問題は確率論と微分方程式やスペクトル理論の境界に位置しており,それぞれの分野の手法を活用するだけでなく,手法そのものの開発も伴って研究を行う必要がある.本研究課題においてはとくに測度の集中現象と呼ばれる確率論の比較的新しい理論と,解析学における伝統的な摂動論を組み合わせる効果的な方法を見出したこと,および統計物理の問題において計算機科学の分野でよく使われる組み合わせ論的な方法が有効であることを見出したことに学術的意義がある.
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