研究成果の概要 |
1. ディリクレ境界条件のもとで, pラプラス偏微分方程式を考察した. 非線形項に対する従来よりも, かなり弱い条件の下で, 0に収束する解の列の存在を証明した. さらに零解が解全体の集合の中で集積点になる場合と孤立点になる場合についての非線形項の条件を調べた. 2. 球において, p ラプラス方程式をディリクレ境界条件の下で研究した. 非線形項の係数関数が球対称であり, 球面の十分小さな近傍で正であり, それ以外では負となる場合を研究している. このとき, レイリー商を最小にする解を最小エネルギー解と呼ぶ. 最小エネルギー解は, 球対称でない正値解になることを証明した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究は, 数学や物理学, 工学などにおいて非常に重要な偏微分方程式である楕円型偏微分方程式の解の性質を調べるものである. 解を無限に多くもつ楕円型偏微分方程式の研究は, 今までにも行われてきた. 本研究では, 極めて弱い仮定のもとに解の無限個の存在を証明している. また, 方程式が対称性をもつにもかかわらずに, 解が非対称になることが起きる. このような対称性の崩れは, 解の分岐理論にも密接に関係していて, 非対称解の研究は, 楕円型偏微分方程式論において極めて重要である.
|