現在の物理学では、物質のミクロでの究極の姿が素粒子である。そして素粒子間の相互作用により、観測される素粒子の性質が発現する。電子の持つ磁気の大きさを示すg因子もその一つだ。電子は、質量が最も軽い荷電レプトンであるため、電子g-2の精密測定が可能で、0.1ppbの精度で決定されており、さらに一桁以上の改良が計画されている。 本研究では、この電子g-2を理論で計算して同等以上の精度を達成しようとするものだ。摂動計算の高次項の確定には10年単位の時間がかかるが、検証の新手法を確立し実施したことで、摂動10次項の確定へと一歩近づいた。これにより、実験と理論の更なる高精度でのテストを実現に導いた。
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