研究課題
基盤研究(C)
硫酸酸性環境下で方塩鉱から硫酸塩ナノ鉱物が生成するメカニズムを,電解放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)観察,X線回折(XRD)実験,そして一連の陽電子消滅実験により調べた。方鉛鉱表面またはマイクロクラック表面に硫酸鉛鉱ナノ結晶生成が起こると,それらの粒界には近傍に硫黄が濃化したナノボイドが見出された。硫酸酸性環境下で硫酸鉛鉱の生成が進むと,粒界のナノボイド濃度が増加することがわかった。
鉱床学
本研究で得られた結果は,硫酸酸性環境中の硫酸塩ナノ鉱物形成に粒界中のナノボイドが関与していることを示唆しており,このことは学術的に意義がある。さらなるデータの蓄積により,硫酸酸性環境下で硫酸塩ナノ鉱物形成メカニズムを説明するモデルの構築が期待される。実現すれば,環境への鉛溶出抑制技術に貢献するだけでなく,地質環境中の物質移行モデルの高精度化にも結びつくため,社会的貢献度も高い。