研究課題
基盤研究(C)
液体の中距離構造が重要な役割を果たすと考えられる液体・液体転移について、これまでのところ、その存在が示唆されている物質は数多くあるものの、反論も多く、その存在が証明された例はほとんどなかった。分子性液体の亜リン酸トリフェニルにおいて観測された第二のアモルファス状態についても、それが液体・液体転移であるかどうか長年論争が続けられてきたが、本研究により、これが液体・液体転移であることを実験的に証明することに成功した。
ソフトマター物理学
これまで、液体の構造には秩序がなく、単一成分液体の状態は1種類しかないとされてきた。一方、近年、液体が異なる構造をもつ複数の状態間を転移する、液体・液体相転移の存在を示唆する実験結果が報告されていたが、反論も多く、実証された例はほとんどなかった。本研究は、分子性液体において液体・液体転移が現実に存在することを明確に証明した。単一成分液体が複数の状態をとる液体・液体転移の存在は、液体の構造が無秩序であるとする従来の液体の概念を覆すものである。