研究成果の概要 |
日本最古の新生代哺乳類化石は西九州の多様性に富む動物群で知られる。絶滅草食獣の汎歯類と移動能力が高い奇蹄類の化石と年代に着目し、北米とアジア間で起きた哺乳類の多様化と年代に関する研究を行った。鹿児島県の中甑層(約5,000万年前)からは新属新種の原始的なブロントテリウム科(奇蹄目)が、熊本県の赤崎層(約4,900万年前)からは2種のコリフォドン科(汎歯目)と有角類に近い原始的バク形類(奇蹄目)が、福岡県の大焼層(約4,900~4,600万年前)からは恐らくユーディノセラス(コリフォドン科)とヒラコドン科(奇蹄目)の種と放射年代が分かった。これらはアジアの哺乳類変遷史の基礎的データとなる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
恐竜絶滅後、新生代になると現代に子孫を残す哺乳類の祖先たちが誕生し、北半球においては約5,600万年前から各大陸間をまたぐ進化と多様化が開始する。この進化の背景は化石の系統解明と正確な年代が重要となるが、アジアでは正確な化石年代が極めて乏しい。本研究は日本の資料を使って、約5,000万年前~4,600万年前の哺乳類の変遷史に関する基礎的データを提出したものであり、この時代の他のアジアにはない哺乳類の変遷史データとして注目される。
|