研究課題
基盤研究(C)
エナジーハーベスティング技術を用いた振動型エナジーハーベスタは,環境から得られる振動を電気エネルギーに変換する微小な発電機である.本研究では,微小な機械システムであるMEMS構造とネオジム(NdFeB)磁石の融合により,発電効率の高いデバイス実現を目指した.発電効率向上には磁性体と対向したコイル電極の隙間を極小にする必要がある.本研究では,磁性膜によって構造体が歪むことを最小限に抑えるため,歪みを打ち消す構造を考案し,また初期的な実験結果から大幅に発電効率が向上することを解析的に証明した.
MEMS
一般に磁性体をMEMS技術と組み合わせることは困難なため,本研究の技術は他に類を見ないものであり,他の原理で発電を行うエナジーハーベスタに対して,低出力インピーダンス(電流がたくさん取り出せる)などの利点を持っている.残念ながら最終的なデバイスの完成には至らなかったが,本研究で得られた基礎実験の成果である磁性体の応力緩和構造は,国内外の学会,シンポジウム等で広く発表しており,日本のみならず世界の研究者への磁性膜プラスMEMSの研究の可能性を発信することができた.