本研究では、洪水被災したタイ住宅公団住宅地を対象として、居住環境と居住者の洪水対応を明らかにした。バンコクに比べてチェンマイでは洪水は頻繁に起こり、洪水前後の対応や伝統行事などに減災の生活様式が認められる一方で、バンコクでは2011年に初めて洪水を経験した人が多く、公的な避難所が避難生活の長期化に対応するなど、洪水対応に見られる地域特性を明らかにした。また、調査結果を居住者と共有し、洪水経験を伝える防災絵本の制作を行った。完成後に読み語りを行ったところ、地域レベルでの災害経験を伝える防災絵本は、当該地域のみならず、地域外における防災教育の教材としても有効であることをを提示した。
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