研究課題/領域番号 |
16K06655
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 由美 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (70445047)
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研究分担者 |
阪東 美智子 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (40344064)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 都市計画・建築計画 / 居住支援 / 住宅政策 / 福祉との連携 / 協議会 / 住宅セーフティネット |
研究実績の概要 |
本研究は、超高齢コミュニティに対応した高齢者の安定居住を支える手法として、住宅・保健福祉医療・地域等による協議体制を基にした連携を「協議会型アプローチ」と定義し、その有効性や限界、新たな手法の提案等をめざしている。 初年度となる平成28年度は、まず、資料等をもとに、住宅・福祉等の連携による高齢者等の安定居住に資する居住支援の実態について把握した。高齢者を主たる対象としつつ、安定した居住を支援するための諸制度の変遷や現在の法制度などに関する資料を収集・整理した。同様に、障害者や生活困窮者などにも対象を広げ、居住支援をめぐる法制度について情報を収集、分析し、その結果を総説として雑誌に投稿した(平成29年5月刊)。 また、高齢者等の住生活の安定や向上に資する住宅・福祉等の連携に基づく居住政策のあり方を検討するため、全国の自治体の住宅部局と高齢者福祉部局を対象に、アンケート調査「住宅・福祉等の連携による居住支援に関する調査」を実施した。本調査では、47都道府県・20政令指定都市・48中核市・23東京特別区等、その他県庁所在市や資料調査等により把握した事例実施自治体を加え、合計153自治体・各2部局(住宅部局・高齢者福祉部局)に計306票を配布し、計198票(住宅部局115票、高齢者福祉部局83票)の回収を得た(平成29年3月末時点)。調査項目は、各自治体の高齢者居住・住宅政策の実施状況や住宅・福祉施策の連携の実態、今後の連携に向けた意見等であり、行政外機関・団体等との連携の実態や、居住支援協議会や新しい総合事業の協議体の取組み状況、市町村の取組み状況(都道府県のみ)等も把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、資料調査とアンケート調査を実施した。 ただし、資料調査については、今後、法制度の改正が予定されていることから、継続して実施していく。また、アンケート調査は、実施時期が年度末になったが、当初計画より内容を拡充し、実施した。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成28年度に実施した自治体を対象とした「住宅・福祉等の連携による居住支援に関する調査」の結果を集計・分析する。それにより、地域特性・住宅特性等によって求められる居住支援の特徴や実現方策を明らかにする。また、「協議会型アプローチ」事例を抽出・整理し、平成29年度実施の「協議会型アプローチ調査」に活用する。 2.「協議会型アプローチ」及び、先進的な事例に関する実態把握を行う。当初、アンケート調査を予定していたが、国における同種の調査結果を参考にできることや昨年度調査の回収状況、回答内容等を考慮し、主にインタビュー調査により、「協議会型アプローチ」と思われる取組や居住支援事例の詳細な実態について把握する。調査対象は昨年度調査に協力いただいた自治体の住宅部局・福祉部局や、その調査結果で明らかになった取組み事例に関わる行政機関や民間の組織・団体等とする。 上記成果については、順次、日本建築学会や日本福祉のまちづくり学会等で発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
自治体を対象としたアンケート調査の回収時期を延長したことから、集計費を平成29年度に支出することになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に実施した「住宅・福祉等の連携による居住支援に関する調査」の結果の入力・集計費、データ加工費(人件費等)を予定する。また、協議会型アプローチ調査・同事例調査を実施するため、出張費(旅費)や調査結果整理のための作業費(人件費)、記録通信のために必要となる設備備品・消耗品等の購入を予定する。 その他、研究打合わせのための旅費、成果公表のための投稿料等の経費を計上する。
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