研究課題
本研究は、植民地期朝鮮半島における近代都市化を解明するもので、1930年代後半以降に京城府(ソウル)および仁川府を繋ぐ工業地域として計画されていた京仁地方に行われていた都市計画を主な研究対象として考察を進めている。平成30年度の研究課題の一つであった戦後復興事業に基づいた都市構想の解明については、初年度より続けてきた奨忠壇公園および社稷壇公園における戦時体制下での公園内施設計画から解放後の用途変遷までの過程を追究することで、公園計画構想の変容過程一部を明らかにした。市内交通要衝に計画されていた南大門公園の初期造成計画から京城市街地計画公園指定、韓国解放後の整備計画までの一連の変遷過程を通しては、ソウルの都市計画構図の変化一部が新たに解き明かされ、地政学的理由による変遷を重ねてきたソウルの都市様相変化像が徐々に浮き上がってきた。公園計画の変遷に表れる都市空間像については、呉市内中央地域に設置された都市計画公園を中心に同様の研究調査を平成29年度より始めており、軍港都市に視る近代都市空間構図の変遷像に新たな展開を試みている。その成果については、平成30年3月に催した台湾の関連研究者との交流会を始めに、同年10月に韓国平昌で開かれた第12回「アジアの建築交流国際シンポジウム(ISAIA)」を通して成果一部を発表しており、アジア諸都市との比較研究を今後の課題として残している。また、都市計画による公共施設計画全般の理解を深めるために、韓国国家記録院による文献調査および制度全般の史料発掘を進める一方、平成29年度より1920年代以後の公設市場設置指針や計画地の調査に着手している。最終年度の3月には、終戦直後の具体実状を把握するために、当時の航空写真等が多数保管されているアメリカ国立公文書管理局での史料発掘を図るなど多方面からの調査を試みており、次の課題解明に向けて準備を整えている。
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The 12th International Symposium on Architectural Interchanges in Asia(12th ISAIA), Pyeongchang Alpensia Gangwon, Korea October 23-26
巻: 12th ISAIA ページ: 1502-1505
巻: 12th ISAIA ページ: 1104-1107