前頭前皮質は、霊長類においてよく発達した脳部位であり、その大幅な拡大と質的変化がヒトに特有の高度な認知機能を可能にした。今回の研究課題では、大脳皮質間のモジュラー結合が鍵だと考え、その実体を明らかにする研究を行った。研究方法としては、霊長類のモデル生物であるマーモセット脳にウイルストレーサーを注入し、連続2光子トモグラフィー法によって全脳イメージングを行い、さらに組織染色と組み合わせて複数部位の結合関係を調べた。その結果、8aD野では、対側からの投射と、同側帯状回からの投射が相補的であること、このようなモジュラー的な結合関係は、背側前頭前皮質の一般的な特徴であることが明らかになってきた。
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