研究課題/領域番号 |
16K07082
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
谷口 俊文 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20724826)
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研究分担者 |
有馬 雅史 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (00202763)
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20208523)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 免疫応答 / 疾患モデル |
研究実績の概要 |
濾胞性ヘルパーT細胞(follicular helper T; Tfh)細胞は胚中心形成および活性化B細胞を高親和性IgG抗体産生細胞へ分化させるために必須であることが明らかにされている。転写抑制因子であるBcl6は胚中心B細胞の必須分化因子であり、T細胞においてはTfh細胞分化を誘導するマスター因子である。ADAR1(adenosine deaminase acting on RNA-1)はBcl6の標的遺伝子であることを見出しており本研究ではTfh細胞の分化誘導におけるADAR1の機能の解明している。
平成30年度はCD28のノックアウトマウスとCD45.1マウスとの掛け合わせを行い、このマウスに対してOX40で切断したADAR1ノックスとマウスのトランスファーによるin vivoの実験を行った。ADAR1のOX40-Creによるコンディショナルノックアウトマウスおよび野生型マウスからナイーブT細胞を脾臓からソートして取り出し、CD28ノックアウトマウスとCD45.1マウスとの掛け合わせたマウスにトランスファーした後にDNP-OVAによる免疫を行った。胚中心が形成される時期にあわせ、経時的に脾臓におけるTfh細胞およびGC-Tfh細胞(GL7+)についてFACS解析を行った。また免疫後、経時的に採血して血中IgMやIgG1抗NP抗体価を親和性とともにELISA法で測定した。また免疫後上記マウスの脾臓由来のTfh細胞とGC-Tfh細胞をセルソータで分取した後、各細胞について、Tfh細胞で発現している遺伝子群の発現をリアルタイムRT-PCR法で解析した。現在は実験結果を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年4月から平成31年3月までの予定されていた研究計画はおおむね順調である。実験基盤の整備から、Tfh細胞の分化誘導におけるADAR1の機能解明のために 行ったin vitroの実験の成果をもとに、コンディショナルノックアウトマウスにおける免疫応答の実験を行い、さらなる成果をあげることができた。in vivoによる実験を予定していたが、Ragノックアウトマウスの入手ができず、代替としてCD28ノックアウトマウスへのトランスファーの実験方法を確立した。これに関しては実験が終了しており、現在は解析及び必要に応じて追加実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスの脾細胞をトランスファーするin vivoの実験を行ったので、その解析を進める。また同様の手法を用いてソートしてきたGC-Tfh細胞を用いてADAR1の標的RNA探索のための基盤的解析を予定通り進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成30年度はADAR1ノックアウトマウスをRagノックアウトマウスにトランスファーを行うin vivoの実験を予定していたが、より精度の高い実験を行うために、トランスファーを行ったときにノックアウト由来の細胞を追跡できるCD45.1を発現するマウスとCD28ノックアウトマウスを掛け合わせたマウスを準備した。そのため実験が若干遅れてしまった。また、もっとも経費がかかると見込んでいたセルソーターによるTfh細胞およびGC-Tfh細胞の抽出、その後ChIP解析やRIP解析を行うための準備(分担研究者への実験動物の譲渡など)ができておらず、予算を使うことができなかった。これらの理由により、当初予定していた物品購入費などが次年度に繰り越された。また平成30年度(4月~3月)では学会発表の機会がなかったため、旅費を使用することができなかった。以上の理由により次年度使用額が生じた。 (使用計画) 令和元年度はノックアウトマウスを使用したin vivoの実験の解析、およびそれらの細胞を使用したADAR1の標的RNA探索のための基盤的解析を行うので今までの請求してきた経費を使用する見込みである。
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